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歌集「かぎしっぽ、ふれふれ」

短歌を始めて3年未満、まだ新人のタンポポですが、いつかは歌集を出したいです。

歌人のどなたかが仰っていました。

歌集を出すのに必要なものは3つ。

① お金 ② 歌数 ③ 野心

だそうです。なるほど…

私の場合、③は人一倍ありますが、②が圧倒的に足りません。お金はかき集めれば何とかなる?…ならないか。

数の足りない私の歌が、歌集という形になるのはいつの事やら。

何しろ生きているうちに、自分でやらなければ。死後には誰も編んではくれません。

そして、歌数が本当に少ないくせに、歌集のことばかりつらつらと考えている私の目に留まったのが、こちらのツイートでした。

 

 

 

わぁ、欲しい欲しい。

何と言っても、可愛いタイトルに惹かれました。タイトルって大事。

自分は本当にタイトルを付けるのが苦手です。(前記事参照)

昔私が飼っていた猫も、犬のLもかぎしっぽでした。

DMを送ってからすぐに、歌集は届きました。

装丁も可愛いらしくて、ほっこり温かみのある歌集です。

 

タクシードライバー・茂木 敏江さんは、歌歴25年でこの歌集を編まれたそうです。

 

第一章 タクシー勤務

第二章 付き合い

第三章 根掛かり

第四章 野中の団地

第五章 かぎしっぽ

第六章 写真付き短歌

 

という、6つの章に分かれている歌は、ほのぼのとした猫のいる風景だけではなく、勤務中に見えてくる世の中や、家族への想い、震災詠、時には自分を見つめた歌等、様々でした。

この一冊に、茂木敏江さんの25年間が凝縮されているのを感じました。

第一章では、読んでいてこちらまで辛くなるものが多かったです。どんな仕事でも大変ですが、女性がタクシードライバーをするという厳しさは想像以上でした。

私はまだ、あまり多くの歌集に触れていないのですが、私家版という事で、数多くのカラー写真と共に歌を楽しむスタイルが珍しいと思いました。

可愛い猫ちゃん達、茂木さんご本人とご家族、四季の風景写真はふるさとでしょうか。

寂しくてやるせない歌が多い中、暖かみのある写真の数々に、とても癒されました。

 

お気に入りの3首を引用します。

 

虚しさをどうしようもなく消したくて本屋に飛び込み己を探す 

/ 茂木 敏江

 

どうしようもなくて、どうにかしたい心の均衡を保つものが、本または本屋という空間なのでしょう。

本屋という場所のプールで、静かに漂いながら自分を癒す姿をイメージしました。

 

彼岸花の緋の群れに入れば今少し強く生きよと地の声がする 

/ 茂木 敏江

 

写真にあった、地元の土手の風景でしょうか。

彼岸花の緋の群れを実際に見たことはありませんが、私も心が弱ると花や樹木や土にパワーをもらっています。

だから「地の声がする」という感覚が、とてもよく解りました。

 

 

部屋中を仔猫を探して呼びおれば洗濯機の中にまるまり眠る 

/ 茂木 敏江

 

ずっと昔に猫と暮らしましたが、こんな事はありませんでしたよ(笑)

洗濯機が好きなようで、洗剤まみれにもなっている茂木さんちの猫。

ああ、猫可愛いな。飼いたいな。でも、大変そう!

 

気候のせいか、私にも不意に襲ってくる不安。

それはきっと、誰もが皆抱えていて、それでも皆しっかりと生きているのですね。

もっと頑張ろう。頑張れるはず。と、この歌集が私にパワーをくれました。

25年分の大切な想いを届けていただいて、ありがとうございました。

 

 


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