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文芸メイン、その他もろもろ

ごめんなさいが言えなかった

夢日記

睡眠導入剤を飲まなくても眠りにつけるって、なんて幸せなのだろう。

それでも睡眠障害には変わりなくて、夜中に何度も目が覚める。

そのまま朝まで起きていると血圧が上がるのが解っているので、何とかまた眠ろうとする。

冬の寒さがやって来て、夏よりはよく眠れている。

私も冬眠したい…

そして相変わらず、夢ばかり見ている。

 

 

 

高校時代の友人の夢を見た。

高校3年間ずっと仲良くして来たグループの、リーダー的な存在だった人。

私はその友人と些細な事で仲たがいしたまま、長い長い歳月が過ぎている。

私達は学校でも放課後も、いつでもベタベタと一緒にいた。

けれども高3の秋、私が誰にも相談せずに進路を決めてしまい、進学の推薦に落ちてさっさと就職試験を受け上京の準備をした、その一連の態度がどうやら気に入らなかったらしい。

友人が私を無視するようになった。

友人は家庭の事情で、地元での就職以外の選択肢が無かった。

私の上京が羨ましいのではなく、私にも地元に残って欲しかったのだと思う。

私は友人に、私がどうして地元にいたくないのか、その理由を話す気にはなれなかった。

あなたに事情があるように、私にだって事情があるのだ。

無視のやり方が、非常に気に入らなかった。

友人は、周りに他の子がいる時には普通に接し、私とふたりだけになると口をきかなくなった。

それなのに、ふたりでの自転車通学は続いていた。

なぜ無視をするのかと責めても、友人は口をつぐんだままだった。

私もいい加減に頭にきて、家まで迎えに来る友人を断り、姉の運転する車で登校しバスで下校した。

次第に姉もクラスメイトも、私達の仲がおかしくなっている事に気がつき、いろんな忠告をしてきた。

友人は、見かけはボーイッシュで明るい性格で、誰からも好かれていた。

私はこの通りの面倒くさい性格だから「何かよく解らないけれど、仲直りしなよ。どうせタンポポの我がままでしょ?」といった雰囲気になっていた。

そのボーイッシュで明るい人気者が、実は女の腐ったような陰湿な苛めをしているとは誰も気づかないし、どうせ信じてもらえない。

私は、友人との関係を修復出来なくてもいいと思った。

私は東京に行くのだもの。

あの子は地元組と、せいぜい仲良くしていればいいのだ。

 

2年後の成人式の集いで私がひとりでいると、数人の元クラスメイトが

「タンポポー!久し振りー!」と言いながら近づいて来た。

その中に、仲たがいしたままの友人がいた。

友人が、何かを私に話しかけてきた。とても自然に、笑顔で話しかけてきた。

 

私はそれを、思いっきり無視した。

 

あの頃からずっと私の胸の中にある重苦しいつかえを、まるで無かった事のように笑顔で返すなんてとても出来なかった。

その場が一瞬で凍りついた。

それから私は地元組に近づかないように、上京組の輪の中にいた。

友人の視線をずっと、背中に感じながら…

 

彼女が今、どこでどうしているのか、何も知らない。

25歳位の時に他のクラスの同級生から、街で見かけた時の様子を聞いただけだ。

「ロングヘアでパーマかけて、バッチリ化粧もしていたよ。何だか水商売っぽくてすごい違和感があった。前の方が良かったのに。」

私は、その姿を想像してみた。私もショートの方がいいのにと思ったけれど、年頃なのだから仕方ない。

そういうのが好きな彼氏でも出来たのだろうか。

それとも本当に水商売で手っ取り早く稼ごうとしたのだろうか。堅実な事務の仕事だったはずなのに。

どうでもいい。

関係ない。

皆は知らないだろうけれど、彼女の本質は「女」なのだから…

 

 

彼女がどこでどうしているのか今でも知らないし、彼女の事を思い出す事も無かった

それなのに、夢に出てきた。

美容室の椅子に座ろうとしたら、離れた場所に友人が座っていた。

声をかけるつもりはなかったのに、美容師と私が会話する声に友人が反応した。

「あ、タンポポ!」

私はまるで、今気がつきました風を装って言った。

「あら、〇〇ちゃん!久し振りだね。」

「元気そうじゃん。」

「元気だよ。ご覧の通りよ。」

私達は鏡越しに笑って、自然に会話していた。

そして、目覚めて驚いた。

どうして夢なんか見たんだろう?

この友人の他にも、私には理由が解らないまま疎遠になった人や、私から遠ざけた人が何人もいる。

彼女達といつかは仲直りが出来たらいいと思っていたけれど、時はあっという間に過ぎ去っていく。

もう、このままでも仕方がないのかな…とも思う。

彼女達の夢に、私が出て来るなんて事があるのだろうか?

たぶん、ない。

だから、このまま。

成り行き任せでもいいのかなと思う。